アスベスト除去の見積は、同じ建物でも業者によって数倍の差がつくことがあります。その差の大半は、レベル区分の判断と数量の拾い方、そして隔離範囲の設定から生まれます。相場の幅と、その幅のどこに自分の現場が入るのかを判断する材料をまとめました。
建築業界で一般に示されている相場の幅です。当社の見積金額ではありません。
| 区分 | 単価の目安 | 代表的な建材 |
|---|---|---|
| レベル1 吹付け材 | 15,000〜85,000円/㎡ | 吹付けアスベスト、吹付けロックウール。機械室・駐車場の天井、鉄骨の耐火被覆 |
| レベル2 保温材等 | 10,000〜60,000円/㎡ | 配管の保温材、煙突の断熱材、耐火被覆板、ボイラー周りの断熱材 |
| レベル3 成形板等 | 3,000〜15,000円/㎡ | スレート波板、けい酸カルシウム板、ビニル床タイル、屋根材、外壁材 |
注目すべきは幅の広さです。レベル1は最安と最高で5倍以上の開きがあります。この幅のどこに入るかは、面積の大小より現場の条件で決まります。
また、レベル区分がひとつ違うだけで単価が数倍変わります。レベル1と判断されていたものが実はレベル3だった、という例は珍しくありません。区分の判断は分析結果と建材の種類にもとづいて行われるべきもので、目視の印象で決めるものではありません。
㎡単価だけを見て予算を立てると、必ず足りなくなります。別途かかる主な費用です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 事前調査 | 書面調査・現地の目視調査。当社は0円 |
| 分析調査 | 1検体あたり20,000〜50,000円程度。検体数と分析方法、特急対応の有無で変動 |
| 足場・仮設 | 外壁・屋根・煙突の工事では必須。建物の高さと立地で変わる |
| 廃棄物の運搬・処分 | 二重梱包して管理型処分場へ。レベル1・2は特別管理産業廃棄物として扱う |
| 届出関係 | 事前調査結果の電子報告、作業届の作成・提出。当社は代行対応 |
| 復旧・仕上げ | 除去後の下地処理、塗装、内装の復旧。使い続ける建物では必要になることが多い |
解体前提の工事なら復旧は不要ですが、使い続ける建物では復旧費が全体の何割かを占めます。「除去費」だけの見積を比較しても、最終的な支出は比較できません。
レベル1の工事費は、隔離養生の規模でほぼ決まります。除去する面積そのものより、その周りをどれだけ囲うかのほうが効いてきます。
逆に言えば、これらの条件を調整できれば金額は下がります。区画を分けて段階的に施工する、動線を確保する、工程を組み直す——現地を見たうえでないと提案できない部分です。
金額の総額だけを並べても、比較にはなりません。安い見積が、必要な養生を省いている・処分費が別途になっている・復旧が含まれていないのかもしれません。逆に高い見積が、レベル区分を過大に見積もっているのかもしれません。
比較のポイントは次の3つです。
なお、自治体の補助制度が使える場合は、実質負担がこれより下がります。制度の有無・金額・申請期限は自治体ごとに違い、多くの制度が契約前の申請を条件にしているため、業者を決める前に確認しておくのが得策です。
制度の有無・金額・申請期限は自治体ごとに違い、年度途中で受付が終わることもあります。
物件の所在地と種別を教えていただければ、使える制度をお調べしてお伝えします。